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ヌーラ・ニー・ゴーノル Nuala Ni Dhomhnaill - 2 -

* * * 『ファラオの娘』 訳者:大野光子 愛知淑徳大学教授による解説より抜粋 * * *

ヌーラが世界的に有名になったのは1986年のマイケル・ハートネットによる英語訳「詩選集」と1990年のアイルランド語英語対訳詩集「ファラオの娘」の出版以降です。彼女の詩の魅力は他の詩人によって英語圏に広められ、特にアメリカでは称賛されるようになりました

ヌーラの詩はアイルランドの土着語であるゲール語にまつわる、特異な歴史的社会の産物ですが、(ゲール語の歴史的背景については当サイトでは紹介しきれないので、ぜひ「ファラオの娘」の解説でお読み下さい。)1970年代にゲール語文学を活性化する運動が生まれ、その中でヌーラは「言語や女性の地位の問題提起を現在と過去とを織り交ぜた」詩に発表することで、頭角を現していきました。

アイルランドは近年まで、女性には閉塞感の強い国でした。無言の心の内に閉じこめられた女性の声を、詩や小説に表現することはタブー視されていましたが、ヌーラはフェミニスト詩人としてそのタブーを打ち破ろうとしています。その鮮烈で強靱な精神力に支えられた詩の言葉には、翻訳のフィルター越しに私たちに飛びかかってくるような強さがあります
ヌーラが詩によって代弁するのは女性だけでなく、抑圧された弱者の声なき声を詩に表現しています。

その表現は「ケルトの神話・伝承・大地」を中心としたモチーフによって語られています。
たとえば声なき民として歴史の表舞台から追放されたゲール語話者は、「足をとりつけられた人魚(これからは慣れない2本の足で歩かなくてはならないのか...)」の哀しみとして表現されています。

これだけではヌーラの詩のすばらしさを解説するにはまだまだ足りませんが、待ちに待った詩集が出版されるのと同時に、彼女自身がゲール語で詩を読むという、またとない機会を、ぜひお見逃しなく!

詩人から見たヌーラ

 


ヌーラ・ニー・ゴーノル
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